毎日当たり前のように食事をし、当たり前のようにトイレを利用する私たち。
しかし、その先で何が起きているのかを考える機会はほとんどありません。
人の排泄物は「廃棄物」として処理されるものというイメージがありますが、本来は食べ物から生まれた大切な養分でもあります。
この養分が自然へ戻らないことが、実は世界中で起きている環境問題の一つにつながっています。
養分の循環が途切れている
植物は土から栄養を吸収し、私たちはその植物や動物を食べて暮らしています。
本来であれば、人の排泄物に含まれる養分も土へ戻り、再び農作物を育てるという循環が成り立つはずです。
しかし現代社会では、多くの養分が下水を通じて河川や海へ流され、この循環が途中で途切れてしまっています。これは、人間社会が自然の養分循環から大きく離れてしまったことを意味しています。
富栄養化という環境問題
河川や湖、沿岸部では、窒素やリンなどの養分が過剰になることで「富栄養化」が起こります。
富栄養化が進むと藻類が大量発生し、水中の酸素不足によって魚介類や水辺の生態系へ影響を与えることがあります。
農地から流出する肥料だけでなく、都市部から排出される生活排水もその原因の一つとされています。
「捨てる」のではなく「戻す」という考え方
世界では、人の排泄物を安全に処理し、堆肥として利用する研究や実践が長年続けられています。
適切な方法で処理することで、病原体などのリスクを管理しながら、植物が利用できる養分として土へ戻すことができるという考え方です。
これは単に廃棄物を減らすだけではなく、限りある資源を循環させるという視点にもつながります。
食料生産と環境を同時に考える
農業では、作物を収穫するたびに土壌から養分が持ち出されます。
その養分をどのように補うかは、持続可能な農業を考える上で重要な課題です。
これからの社会では、「安全な食料を生産すること」と「環境への負荷を減らすこと」を別々に考えるのではなく、両方を同時に実現する方法が求められています。
このテーマをさらに深く知りたい方へ
今回紹介した考え方は、ジョセフ・ジェンキンス著『うんちコンポスト(The Humanure Handbook)』でも詳しく解説されています。
40年以上にわたる研究や実践をもとに、人の排泄物を安全に堆肥化する方法や、その背景にある環境問題について分かりやすく紹介されています。
「排泄物をどう処理するか」という話ではなく、「自然の養分循環をどう取り戻すか」という視点から読むと、新しい発見があるかもしれません。
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